三浦雄一郎
高い志を立てれば人は変わる。
志は青春時代だけのものではない。
中年よ大志を抱け。
三浦雄一郎は、史上最高齢でエベレストの登頂に成功した人物で知られています。
70歳でエベレストに登頂し、強靭な肉体を持つ印象を持たれている三浦ですが、
実は幼少期は体が弱く、小学生の頃には結核や肋膜炎により、
一年の半分近く学校に通えていなかった時期もあると言われています。
健康問題により複数転校を繰り返し、スポーツとは縁がないような生活を送っていました。
しかし、小学校2年生の時に公園の坂をスキーで滑ったことをきっかけに、
スキーに関心を持ち始めます。
中学生になると、青森県岩木山で開催されたスキー大会に出場。
見事優勝し、初めてのタイトルを獲得します。
高校に進学すると、全日本スキー選手権大会で入賞。
青森県高等学校スキー大会では3年連続で個人優勝を果たすなど、スキー選手として華々しい記録を残していきました。
一時アマチュア選手として活躍していた三浦ですが、
スキー連盟関係者とのトラブルにより、アマチュアスキー界を追放されてしまうという困難にも見舞われます。
しかし、三浦はくじけることなく、プロスキーヤーとして活動を開始。
その結果、オリンピック選手も名を連ねる大会で世界ランク8位となります。
さらに、1964年7月にイタリアで行われた大会では、日本人として初めて出場し、世界最高記録を樹立しました。
老いは怖くない。
目標を失うのが、怖い。
何のために長生きしたいのか。
健康の先に何を見たいのか。
その目標が、はっきりしないとただの怠け者になってしまう。
三浦のプロスキーヤーとしての活動は、大会だけにおさまりませんでした。
1970年5月には「エベレストの8000m地点からの滑降」に挑戦し、見事成功。
その記録はギネスブックに載り、当時の様子はドキュメンタリーとして映画化され、アカデミー章記録映画部門を受賞しています。
南アメリカのアコンカグアからの滑降を成功させたことにより、
世界七大陸最高峰全峰からの滑降を達成。
しかし、ここで問題が発生します。
世界七大陸最高峰全峰制覇という目標を達成したことにより、
いわゆる「燃え尽き症候群」にかかってしまったのです。
不摂生な生活を送る三浦ですが、
99歳という年齢でありながら常に挑戦を続ける父や、オリンピックに出場した次男の姿を見るうちに、改心します。
そして、65歳の時にとうとう「エベレストの登頂」を目指すことを決意。
しかし、不摂生な生活により、三浦の体力は著しく落ちていました。
体力を回復させるために、外出時には常に体に重りをつけ、
20キロのリュックを背負い続けるなどのトレーニングを始めます。
そんな努力が身を結び、2003年5月22日、
世界最高齢である70歳7か月の時に、世界最高峰であるエベレストの登頂を果たしたのです。
世界を驚かせた三浦の活躍はこれだけにとどまらず、
75歳と80歳の時にもエベレストに登り、計3度の登頂に成功しています。
夢を諦めることこそが、人間にとって最も無理をしている状態なのです。
1932年10月12日 青森県青森市に生まれる
1960年始め スキー学校を開設
1962年 世界プロスキー選手権に参加。世界ランク8位になる
1964年7月 イタリアで開催されたキロメーターランセに初めての日本人として参加。
時速172.084キロの世界記録を樹立
1966年4月 富士山での直滑降を成功させる
1970年5月 エベレストのサウスコル8000m地点からの滑降に成功。
ギネスブックに掲載される
1985年 54歳で南アメリカ大陸最高峰であるアコンカグアからの滑降に成功
世界七大陸最高峰全峰からの滑降を達成する
1971年 スポーツ英雄大賞受賞
1975年 エベレスト滑降を題材にしたドキュメンタリー映画がアカデミー賞を受賞
1992年 クラーク記念国際高等学校の校長に就任
2003年5月22日 エベレストに世界最高齢である70歳7か月で登頂成功
2005年6月 全国森林レクリエーション協会会長に就任
2006年 NPOグローバル・スポーツ・アライアンス理事長に就任
2008年5月26日 75歳でエベレストに登頂成功
2010年 アルベルト・シュバイツァー章を受章
2013年5月23日 80歳で3度目のエベレスト登頂に成功。
再び世界最高齢でのエベレスト登頂の記録を樹立
2018年 第1回ネパール社会貢献者表彰を授与される
2019年1月 86歳でアコンカグア登頂を目指すも、体調不良のため断念
2019年2月 北海道の民放5局とNHK札幌放送局の合同キャンペーンに参加