ジャニス・ジョプリン
わたしはたった一つのことしかできない。
それを自慢に思うことはあるけどさ。
ただ、それだけなのよ。
高い歌唱力と個性豊かな歌声で知られるジャニス・ジョプリンは、
1943年1月19日にアメリカのテキサスで生まれました。
子供のころからブルースを聴き、自身も地元の聖歌隊に所属するなど、
幼い頃から歌に関わる人生を送っていきました。
高校生の頃には孤立しがちが生活を送っていましたが、
当時仲の良かった一人の生徒に聴かされたレコードがきっかけで、
ブルースやフォーク・ミュージックの魅力にのめり込んでいきます。
サンフランシスコに渡りフォーク・シンガーとして活動を始めたジャニスは、
ビッグ・ブラザー&ザ・ホールディング・カンパニーという名前のバンドに参加。
しかし、バンドは演奏力が不足しているとされ、
発売したレコードの売れ行きは思うように伸びませんでした。
そんな中、1967年の6月16日から3日間行われた「モントレー・ポップ・フェスティバル」で、
ジャニスは大きな注目を集めることとなります。
ビッグ・ママ・ソーントンの「ボール・アンド・チェイン」を
特徴的な荒々しい歌声で歌いあげたジャニスの姿が、観客に強烈な印象を与えたのです。
さらに、1968年に発表したアルバム『チープ・スリル』によって、その評価は定着していきます。
あなたはあなたが妥協したものになる。
その後、ビッグ・ブラザーを離脱したジャニスは、
新しいバンド「コズミック・ブルース・バンド」を結成。
『コズミック・ブルースを歌う』をリリースし、ウッドストック・フェスティバルに参加。
しかしすぐにバンドは解散してしまい、
ジャニスは次のバンドである「フル・ティルト・ブギー・バンド」を結成します。
1960年代を代表する女性シンガーであり、パワフルでエネルギッシュな印象を与えるジャニスですが、
妹のローラの手記には「知的でシャイ、繊細な家族思いの人物」と記されています。
ジャニスはある番組で「自分は今までクラス、学校、町、そして国中の笑い者だった」と語っていたこともあり、
その心は様々な苦悩に満ちていたと考えられています。
多くのファンに感動を与え、人気の絶頂にあったジャニスですが、
27歳という若さでこの世を去ることとなります。
1970年10月4日にハリウッドにあるランドマーク・モーター・ホテルで倒れているところを発見された時、
すでに彼女の息はありませんでした。
死因はヘロインの過剰摂取によるものだと考えられています。
ジャニスの死後、1971年1月に発表されたアルバム『パール』は、
彼女の歌手人生最大のヒットとなりました。
「ロックの女王」とまで呼ばれたジャニスは、
死してなお多くの人々を魅了し続けています。
自分で自分が信じられなくなるようなことをしちゃだめ。
あなたのすることがすべてあなたそのものなのよ。
1943年1月19日 アメリカ、テキサスで生まれる
1960年 トーマス・ジェファーソン・ハイスクールを卒業
テキサス大学オースティン校に入学（その後、中退）
1963年 サンフランシスコでフォーク・シンガーとして生計を立てはじめる
1966年 ポート・アーサーでの療養を経て、サンフランシスコに戻る
ビッグ・ブラザー&ザ・ホールディング・カンパニーに参加
1967年 バンド名を冠したアルバムを発売
モントレー・ポップ・フェスティバルに出演
1968年 アルバム『チープ・スリル』を発表
1969年 新たなバンド『コズミック・ブルース・バンド』にてアルバム『コズミック・ブルースを歌う』を発表
その後、フル・ティルト・ブギー・バンドを結成
1970年6月29日 「フェスティバル特急」で回るカナダ・ツアーを開始
6月・8月 ジャニスが出演するテレビ番組が放映
ジャニスが公の場に出た生前最後の姿となる
10月4日 ハリウッドにあるランドマーク・モーター・ホテルの105号室で遺体が発見される
10月13日 遺体は火葬され、カリフォルニア州のスティンソン海岸沖上空から太平洋へと散骨される
1971年1月 アルバム『パール』が発表され、最大のヒットとなる